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蛾類学会コラム4 冬尺蛾完全制覇への道

飯森政宏

2016年の11月にそうそうたる冬蛾屋の面々が一堂に介する「冬ノ蛾座談会」という集まりがあり。その中で参加者が今までに採集したフユシャクの種数を発表していった。一位はもちろん中島秀雄氏の34種。当時の私はフユシャク35種中の30種を採集しているのみであり、ランク外の成績であった。

この座談会が終わった後、 私は「自分が一番に全種制覇してやる」という決意を密かにしていた。採集していないのは離島のアカウスバフユシャク、西日本に産地が多いチャオビフユエダシャク、再発見の報が記憶に新しいカバシタムクゲエダシャク。そして九州のサクフウフユシャク、クジュウフユシャクの5種だった。

しかしその直後である。そんな密かな決意をあざ笑うかの如く、最後の1種サクフウフユシャクを採集した中島秀雄氏がフユシャク完全制覇第一号の称号をかっさらっていった。わかってはいたがやはりミスターフユシャクガには敵わなかったのだ。

年が切り替わった2017年の1月、私は伊豆大島にいた。アカウスバはオスのみだが何とか採集できた。続く3月に山梨でチャオビを1♂採集できた。

次は難関のカバシタ。再発見のすぐ後に向かった2016年春は電光石火の如く飛び回る♂に辛酸を舐めた。しかし今年は♀を使ったフェロモントラップによってネット捌きの下手糞な私でもカバシタ採集の栄誉を勝ち取ることができた。さあ残るは九州の2種だ。

 

12月、私は九州へ車を走らせた。佐々木公隆氏の助力もあり、サクフウのペアを採集し。返す刀でクジュウもゲットできた。2017年12月、ミスターフユシャクガに遅れること1年、二人目となるフユシャク完全制覇を成し遂げることができた。

しかしこれで終わりではない。全種の♀を自己採集しなくては気持ちが治まらない。

次は私達フユシャク第二世代がミスターフユシャクガに一泡吹かせる番だ。

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Last update: 21 Jan, 2018