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2018年秋の例会(報告)

2018年、秋の例会9月29日に国立科学博物館附属目黒自然教育園(2階会議室)にて行われた。
特別講演は神保宇嗣氏による「国立科学博物館附属自然教育園の蛾類調査」では現在進行形である目黒自然教育園内の調査の話題が提供された。ナンバンギセルにつくキンスジノメイガなど興味深い種が採れていたり、通常は好条件であるはずの曇りの日のライトトラップは都心部では周辺が明るすぎるために光が乱反射してしまい悪条件であること。調査の苦労など都市部の緑地調査ならではの話題であった。

一般講演では新津修平氏の「カバシタムクゲエダシャクの翅退化について」では年1化、春に成虫が出現するフチグロトゲエダシャクとの比較をしながら、カバシタムクゲエダシャクの翅退化を生理学、分子系統学の視点から見た話題が提供された。つづいて中尾健一郎氏による「ミャンマーKennedy Peak山塊で採集された蛾」ではヤママユガ科、ヒトリガ科などタイトルの場所で得られた注目すべき蛾類を紹介された。前田大輔氏による「北海道で得られた日本未記録のボクトウガの一種」では、網走で得られたスミイロオオボクトウについて紹介された。オオボクトウよりも大型の蛾であるのにも関わらず、これまで採集例がないので、今後この蛾の記録に注目したい。四方圭一郎氏による「2018年夏の南アルプス高山蛾調査報告」では今年の調査隊の成果について報告された。高山蛾には年によって当たりはずれの変動が大きかったり、台風などで調査が流れてしまった苦労など引き込まれる内容であった。最後の小林真大氏による「ラオスの蛾とラオスの採集事情」では高校卒業後、東南アジアにほぼ移住して蛾を採集し続け、現在はラオスで採集活動を行っている小林氏が定点観察しているポイントで飛来する蛾の紹介と国内の採集状況が報告された。今年からラオスでは昆虫採集が規制されており、調査には許可が必要だとのことであった。


今回の秋の例会参加者60名、懇親会参加47名と過去最大と思われる大盛況で無事終了いたしました。お足元の悪い中、ご参加いただきました皆様ありがとうございました。

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Last update: 4 Oct, 2018