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会長挨拶

 

 このたび会長をお引き受けすることになりました、枝恵太郎です。本会は1953年に蛾類同志会として発足し、今や学会の歴史は70年を過ぎたところになります。私自身は日本蛾類学会に入会して35年を過ぎようとしていますが、ちょうど蛾類学会の歴史の半分を共に歩んできたことになります。私の人生において大きなウェイトを占める本会において、今回会長を務めさせていただけるということに、先人の方が繋げてきた蛾類学会への想いを考えると改めて身が引き締まります。

  私は長らく本会会誌である「蛾類通信」の編集をしてきましたが、近年のコロナ禍の中でも、会員の方からは「蛾類通信」並びに英文誌「TINEA」への投稿が途切れることなく、というよりも年々投稿原稿量が増加することを間近で見てきており、さらに若手会員の増加などから、現在国内昆虫関係学会の中ではトップの熱量を持つアツイ会ではないかと感じています。

 特にこの10年ほどの間におきましては、各会員のたゆまず諦めない調査のもと、50年以上見つかっていなかったカバシタムクゲエダシャクやキタダケヨトウなどが再発見されてきました。また特殊環境の荒廃や近年の厳しい気候変動も含めて蛾類にとっての生息環境の変化が著しいことは明らかです。若い会員の方にあらためて各地の蛾類相調査を行ってもらえるよう、我々が若い頃にあった蛾類相解明の情熱を伝えるとともに、一緒に調査をしていくことができたらと考えています。

 最後に日本蛾類学会はアマチュアとプロの研究者が協力しながら発展してきました。今や小学生から米寿を迎える会員の方までいらっしゃいます。身近な蛾の幼虫の飼育や、街灯にきている蛾に面白さや神秘を感じる方は、ぜひ一緒に研究をしてみませんか。庭に生息する蛾の研究が、世界初の発見になるかもしれません。そんな夢のある研究ができるのが、日本蛾類学会です。多くの皆様のご入会をお待ちしています。

 

日本蛾類学会会長

枝 恵太郎

 

Last update: 6 Feb, 2024